こんにちは、「大学職員パパ」のシュウです。
大学に在学中、あるいは、これから入学するあなたへ。
突然ですが、あなたは、ご自身の大学の「卒業要件」を、全て正確に説明できますか?
この質問に、即答できる学生は、実は、ほとんどいません。
そして、その「知らなかった」が原因で、4年生の後半になって「卒業に必要な単位が、足りない…」という、絶望的な状況に陥る学生を、僕は、これまで何人も見てきました。
この記事では、そんな悲劇を避けるため、大学職員である僕が、あなたの大学生活の全ての土台となる「卒業要件」の、正しい確認方法と、後悔しないための、戦略的な履修計画の立て方を、分かりやすく解説します。
まずは「ルールブック」を手に入れよう
では、あなたの大学生活の全てのルールが書かれた、その重要な書類は、一体どこにあるのでしょうか。
それは、大学が発行する「履修要覧(りしゅうようらん)」や「学生便覧(がくせいびんらん)」といった、分厚い冊子のことです。
入学時に、新入生全員に配布されているはずです。 多くの学生が、この冊子を、一度も開くことなく、本棚の肥やしにしてしまいます。絶対に、そうしてはいけません。
我々大学職員は、常にこの学生便覧を片手に、学生さんたちに説明を行います。
なぜなら、大学生活の全てが、ここに書かれているからです。
試しに、あなたが通っている大学の教務課の窓口に行って、進級要件などについて質問をしてみてください。必ずあなたの入学年度を聞かれて、職員が学生便覧を手に取るはずです。
もし「なくしてしまった…」という人がいても、大丈夫。
大学の公式ウェブサイトや、学内のポータルサイトから、PDF版をいつでもダウンロードできる場合がほとんどです。
今すぐ、探してみてください。 話は、それからです。
「必修科目」という、絶対に越えなければならない壁
まず、ルールブック(学生便覧)を開いて、最初に探すべき項目。 それが「必修科目」です。
これは、その名の通り、あなたの学部・学科で「卒業するために、絶対に合格しなければならない科目」のことです。
他のどんな科目の成績が良くても、この「必修科目」の単位を一つでも落とした場合、その時点で、4年間での卒業は、ほぼ不可能になります。
「まあ、来年再履修すればいいや」 そんな甘い考えは、命取りです。
なぜなら、その必修科目が、次の学年の、別の必修科目の履修条件になっていることが多いから。
「Aという科目に合格していないと、Bという科目は履修できない」というルールです。
この履修条件が設定されていない学科もあるため、必ずしも留年が確定するわけではないですが、必修科目は修得していることを前提に時間割が組まれるため、1年次の必須科目を2年次で履修しようとすると、1年次の必修科目の時間と重複し、履修できないということが発生する可能性があります。
ちなみにこのように時間割が重複してしまった時は、下の学年(今回の例で言うと1年次)の科目を履修するのが基本です。
こうならないために、1年生のうちに配当されている必修科目は、何があっても、絶対に、最優先で履修し、そして、必ず単位を取得してください。
これが、大学生活における、最初の、そして最大の鉄則です。
もし、この必修科目を落として留年してしまった場合、どうなるか。
当然、余分な1年分の学費が必要になります。
具体的に、大学4年間でどれくらいの費用がかかるのかについては、下の記事で詳しく解説しています。学費を無駄にしないためにも、必修科目の重要性は、絶対に覚えておいてください。
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「選択必修科目」という、あなただけの冒険ルート
必修科目が「絶対にクリアすべき、メインルート」だとしたら、次に見るべき「選択必修科目」は、あなたの興味に合わせて、自由にルートを組み立てられる「サブルート」です。
しかし、ここにも、多くの学生が見落とす、重要なルールがあります。
それは、「〇〇群から、△単位以上を履修すること」といった、科目グループごとの縛りです。
例えば、 「A群(人文科学)、B群(社会科学)、C群(自然科学)の3つの群から、それぞれ8単位以上、合計で30単位以上を取得すること」 といったルールです。
これは、専門分野だけでなく、幅広い教養を身につけてほしい、という大学からのメッセージなのです。
1年生のうちから、このルールを意識して、バランス良く履修していかないと、4年生になって「A群の単位が、あと2つ足りない!」なんて、悲惨なことになりかねません。
(こういった学生を、僕は何人も見てきました…)
必修科目と合わせて、この「選択必修科目」のルールも、必ず最初に確認しておきましょう。
【実践編】4年間の「履修計画」を、実際に立ててみよう
さて、ここまで「必修科目」や「選択必修科目」のルールについて、解説してきました。
具体的な計画を立てる前に、まず、あなたにやってほしいことがあります。
それは、学生便覧やWebサイトから「卒業要件の一覧表」を印刷し、自分だけの「単位取得チェックリスト」を作成することです。
そして、学期が終わるごとに、単位を取れた科目をマーカーで塗りつぶしていく。
アナログな方法に見えますが、これが「うっかり単位が足りなかった」という最悪の事態を防ぐ、最も確実な方法です。大学職員として、僕が一番おすすめする自己管理術です。
この「自分だけのチェックリスト」を手元に置いた上で、後悔しないための「4年間の履修計画」のモデルプランを、具体的に見ていきましょう。
1年生:「必修」を最優先に、興味のアンテナを張る時期
まず、1年生の時にやるべきことは、たった一つ。
「配当されている必修科目を、何があっても、全て履修し、単位を取る」ことです。
そして、残りの単位で、興味のある一般教養科目(第二外国語や、心理学、経済学など)を、広く浅く「つまみ食い」してみましょう。
この時期に、自分の知的好奇心が、どの方向を向いているのかを探っておくことが、2年生以降の専門科目の選択に、大きく影響します。
一般教養科目は、基本的に1年次に全て取り終える人が多いので、この時点で卒業要件を満たせるように修得しておくことを、強くおすすめします。
2年生・3年生:専門分野を深めつつ、単位は計画的に
2年生からは、いよいよ専門科目が本格的に始まります。
1年生で見つけた、自分の興味のある分野の科目を、深く学んでいきましょう。
そして、3年生の終わりまでには、卒業に必要な単位の、ほとんどを取り終えているのが、理想的なペースです。
なぜなら、4年生は、あなたにとって、非常に忙しい一年になるからです。
4年生:「卒論」と「就活」に、全集中する時期
4年生の時間は、基本的に、「卒業研究(ゼミ・卒論)」と「就職活動」の、2つに全ての時間を集中させるべきです。
もし、この最終学年に、まだ多くの授業の単位が残っていると、どうなるか。
どちらも中途半端になり、「もっと、ちゃんと計画を立てておけばよかった…」と、卒業間際に、大きな後悔をすることになります。
計画を立てることは、あなたを不自由にするものではありません。
むしろ、計画があるからこそ、安心して、挑戦的な科目や、面白い授業に飛び込むことができるのです。
まとめ:計画こそが、あなたを自由にする
今回は、大学の「卒業要件」を正しく理解し、後悔しないための、4年間の履修計画の立て方について解説しました。
卒業とは、ただ単位を集める作業ではありません。 それは、大学が用意したルールブックを読み解き、自分だけの学びのルートを設計する、知的で、戦略的なゲームです。
この記事が、あなたの大学生活という、最高の冒訪の「羅針盤」となれば、僕にとって、これほど嬉しいことはありません。
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