こんにちは、「大学職員パパ」のシュウです。
今大学に通っているあなたに、今日は一番大事な、少しだけ厳しい話をします。
それは、大学から配られる、一冊の分厚い本、あるいはPDFファイル、もしくはポータルサイトから閲覧できる――『シラバス』についてです。
教務課で10年以上、何千人という学生を見てきましたが、断言します。
ほとんどの学生が、これをまともに読んでいません。
そして、学期末になって「こんなはずじゃなかった」と、後悔します。
最初に、一番大事なことを言います。
大学において、「シラバスを読んでいなかった」は、一切の言い訳になりません。
「知らなかった」では、済まされない。
それは、100%、あなたの責任です。
厳しいことを言いましたが、これは、あなたに後悔のない、最高の4年間を送ってほしい、という僕からの心からの願いです。
この記事では、そんな悲しい後悔をしないために、シラバスという「授業の設計図」から、本当に価値のある、そして安全な授業を見つけ出すための、具体的な読解術を、あなただけに伝授します。
なぜ、ほとんどの学生は、履修登録で失敗するのか?
では、なぜ多くの学生が、シラバスを読まずに、後悔することになるのでしょうか。
その最大の理由は、「授業一回あたりの、本当の値段」を知らないからです。
まず、あなたに一つ、計算をしてみてほしい。
あなたが1年間で払う授業料は、いくらだろうか?
例えば、私立大学の文系学部の平均である、年間100万円だとしましょう。
そして、1年間で履修できる単位の上限は、多くの大学で約40単位。
つまり、たった一つの単位のために、あなたや、あなたの親は「約2万5千円」を払っている計算になるんだ。
一般的な2単位の授業は、90分の授業が15回で構成されている。
ということは、あなたは、たった一回の90分の授業に、「約3,300円」ものお金を払って、その席に座っていることになります。
ちなみにあなたが私立大学の理系の学部の場合、「約4,500円」になります。
その事実を知った上で、もう一度考えてみてください。
サークルやSNSで出回る「楽単リスト」を信じて、ただ座っているだけで単位がもらえる授業を選ぶ。
あなたは、その「3,300円」と、人生における貴重な「90分」を、本当にそんな風に使ってしまって、いいのだろうか?
頭を悩ませながらも、新しい世界を見せてくれる授業と、どちらに本当の価値があるのか。
履修登録とは、あなたの「時間」と「お金」を、何に投資するのかを決める、極めて重要な「意思決定」なのです。
シラバスは、授業担当教員とあなたを結ぶ「契約書」である
「履修登録」とは、単なる授業の選択ではありません。
それは、その授業のルールブックである「シラバス」に書かれた全ての条件に同意し、授業担当教員と「契約」を結ぶ、極めて重要な行為なのです。
この契約書には、 「この授業では、こういう内容を教えます」 「こういう課題を提出すれば、こういう基準で成績を評価します」 という、ルールが書かれています。
あなたが「シラバスを読んでいなかった」と言っても、契約書にサインした(=履修登録した)以上、その内容全てに同意したことになります。 後から「そんなルールは聞いていない」は、一切通用しないのです。
シラバス読解術:最低限、ここだけは読め!
では、その重要な「契約書」であるシラバスの、どこを、どう読めばいいのか。
全ての授業で、最低限、ここだけは確認すべきだ、という4つのチェックポイントを伝授します。
チェックポイント①:「成績評価の方法」で、地雷を回避する
ここが、一番大事です。
シラバスの中で、絶対に、何よりも先に見るべき項目です。
ここには、あなたの単位取得の難易度が、全て書かれています。
ここに「授業への参加度」や「毎回のリアクションペーパー提出」といった項目があれば、特に注意が必要です。
そして、ここで多くの学生が、ある大きな勘違いをします。
多くの大学では、「授業の3分の1以上を欠席した者は、期末試験の受験資格を失う」というルールがあります。
これを、「3分の1までは、休んでもいいんだ」と、自分に都合よく解釈してしまうのです。
それは、全く違います。
あのルールは、病気や、やむを得ない事情で休んでしまった学生に対する、最後の救済措置です。
授業は、全出席が、大前提。
その上で、この授業が、毎回の出席を前提とした厳しい評価基準になっていないか。
それとも、「期末試験100%」のような、一発勝負の科目なのか。
自分の得意・不得意に合わせて、無理なく単位が取れる科目か、ここで冷静に見極めてください。
- 期末試験:100%
一発勝負です。試験で失敗したら、即、単位を落とします。 - 毎回の小テスト:30% + レポート:70%
試験はありませんが、毎週の積み重ねが重要になります。 - 授業への参加度(発言など):40% + グループワーク:60%
いわゆる「意識高い系」の授業です。ただ座っているだけでは、絶対に単位は来ません。
チェックポイント②:「到達目標」で、ミスマッチを防ぐ
次に大事なのが、「この授業を終えた時、あなたは何ができるようになっているか」という、具体的なゴールが書かれている、この項目です。
授業名や、ざっくりとした説明だけで、「面白そう」と判断するのは危険です。
例えば、「グローバル・コミュニケーション論」という授業名でも、目標が「英語のビジネスメールが書けるようになる」なのか、「異文化間のボディランゲージの違いを理解する」なのかで、内容は全く違います。
自分の興味と、本当に合致しているか。
ここで、しっかり確認しましょう。
チェックポイント③:「授業計画」で、授業全体の流れを掴む
次に、全15回の「授業計画」の欄を、ざっとでいいので眺めてみてください。
ここには、その授業の「予告編」が詰まっています。
毎週のテーマを見て、本当に自分の興味と合っているか。
そして、意外と見落としがちなのが、「グループワーク」や「中間発表」といった文字です。
もしあなたが、大勢での議論や発表が苦手なのであれば、こうした授業は避けた方が、精神的に楽かもしれません。
授業形式と、自分の性格との相性も、ここで確認しておくのです。
チェックポイント④:「教科書」で、隠れた出費を確認する
最後に、意外な出費に繋がるのが「教科書・参考文献」の欄です。
特に、洋書や専門書は、一冊で5,000円以上することも珍しくありません。
必修科目で、そうした高額な教科書が複数指定されていた場合、数万円の出費になることも。
大学で開催される教科書販売期間で、指定の業者から買う方が多いかもしれませんが、必ずそこで買わなければいけないということはありません。
例えば少しでも安く手に入れたいのであれば、同じ学部の先輩から、中古で安く譲ってもらえないか聞いてみたり、大学の近くにある古本屋を覗いてみるのも、良い手です。
チェックポイント⑤:「担当教員の名前」で、検索してみる
これは、多くの学生が見落としている、上級テクニックです。
シラバスに書かれている担当教員の名前を、大学の「教員データベース」や、Googleで検索してみてください。
その教員がどんな研究を専門にしているのか、どんな論文を書いているのかが分かります。
授業名だけでなく、その教員の専門分野が本当に自分の興味と合っているかを確認することで、「こんなはずじゃなかった」というミスマッチを、ほぼ100%防ぐことができます。
まとめ:シラバスを制する者は、大学生活を制する
今回は、大学のシラバスの、本当の読み解き方について解説しました。
多くの学生が、ただの授業案内だと思っているシラバス。
しかし、その正体は、あなたの大学生活の質を左右する、極めて重要な「契約書」であり、「設計図」です。
シラバスを制する者は、大学生活を制する。
この記事が、あなたが後悔のない、最高の4年間を送るための、一助となれば、僕にとってこれほど嬉しいことはありません。
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