本ページはプロモーションが含まれています
これまでの記事で、「単位」の本当の意味と、履修の上限である「CAP制度」については、もう完全に理解できましたね。
しかし、ルールを理解した今、新たな疑問が生まれているはずです。
「じゃあ、具体的にどの授業を、どの順番で取ればいいの?」
「無数にある授業の中から、どうやって自分に合ったものを選べばいいんだろう…」
履修登録を前にして、途方に暮れていませんか?
実は、大学は皆さんが道に迷わないように、卒業までの「おすすめルート」を示した地図を用意してくれています。しかし、多くの学生がその地図の存在を知らない、あるいは見方が分からないために、行き当たりばったりで授業を選び、「4年生になってから、必修科目の取り忘れに気づく」という最悪の事態に陥ってしまうのです。
この記事では、そんな悲劇を避けるため、大学が用意してくれた最高の道しるべ、『履修モデル』と『カリキュラムツリー』の賢い使い方を、大学職員である私が伝授します。
読み終える頃には、あなたは地図の読み方をマスターし、自信を持って4年間の航海計画(履修計画)を立てられるようになっているはずです。
大学が用意した「卒業までの地図」を手に入れよう
履修計画で迷ったら、まず、あなたの学部・学科が公式に示している「履修モデル」と「カリキュラムツリー」を探すのが鉄則です。
これらは、入学時に配布された「履修要覧(学生便覧)」や、学部・学科の公式Webサイトに必ず掲載されています。「履修について」「カリキュラム」といったページを探してみてください。
ちなみに、「履修要覧」が4年間の地図なら、「シラバス」は授業ごとの設計図です。まだ読んでいない方は、以下の記事で「シラバスの賢い読み方」も必ずマスターしておきましょう。
「履修モデル」とは?大学が示す、卒業への”王道ルート”
「履修モデル」とは、「この通りに履修していけば、無理なく4年間で卒業できますよ」と大学が示してくれる、標準的な時間割のモデルケースのことです。
法学部 法律専門職モデル(例)
1年次 | 2年次 | 3年次 | 4年次 | |
---|---|---|---|---|
春学期 | 憲法Ⅰ 民法Ⅰ 刑法総論 英語A |
民法Ⅲ 商法Ⅰ 刑事訴訟法 |
労働法 租税法Ⅰ 演習(ゼミ) |
卒業研究 |
秋学期 | 憲法Ⅱ 民法Ⅱ 刑法各論 英語B |
民法Ⅳ 商法Ⅱ 民事訴訟法 |
知的財産法 租税法Ⅱ 演習(ゼミ) |
卒業研究 |
※これはあくまでサンプルです。実際の見た目は大学・学部によって大きく異なります。
多くの場合、学年や学期ごとに履修すべき科目が一覧になっており、「1年生で取るべき科目」「2年生で取るべき科目」が一目でわかるようになっています。
特に、大学生活に慣れていない1年生は、まずこのモデル通りに履修するのが、最も安全で確実な方法です。
「カリキュラムツリー」とは?学問の”進化図”
「カリキュラムツリー」とは、「どの授業が、どの授業に繋がっているか」という、科目同士の関連性や発展性を、樹形図(ツリー)で示したものです。
【重要】見た目や呼び方は大学によって全く違います
「カリキュラムマップ」「履修系統図」「科目ナンバリング」など、大学によって呼び方やデザインは様々です。しかし、「科目の繋がりを示している」という本質は同じです。ここで紹介するサンプルはあくまで一例として、あなたの大学の地図を探し、その見方をマスターしてください。
経営学部「マーケティング分野」の科目ツリー(例)
1年生
経営学入門
全ての基礎となる必修科目。
簿記原理
会計分野の基礎。まずはここから。
経済学入門
マクロとミクロの視点を学ぶ。
2年生
マーケティング入門
前提:経営学入門
中級会計学
前提:簿記原理
統計学基礎
データ分析の第一歩。多くの専門科目の基礎になる。
3年生
マーケティング戦略論
前提:マーケティング入門
財務管理論
前提:中級会計学
消費者行動論
前提:マーケティング入門, 統計学基礎
4年生
卒業研究(マーケティング)
前提:マーケティング戦略論
国際経営論
前提:経営学入門
このツリーを見ることで、自分の興味がある分野を深く学ぶためには、どの基礎科目から積み上げていけば良いかが一目瞭然になります。
例えば、「将来マーケティングの卒論を書きたいな」と思ったら、その根っこにある「マーケティング戦略論」→「マーケティング入門」→「経営学入門」を順番に履修していく必要がある、と逆算して計画を立てることができるのです。
【実践】2つの地図を使って、自分だけの履修計画を立てよう
それでは、この2つの地図を使って、あなただけの履修計画を立てる具体的な4ステップを紹介します。
- ステップ1:まずは「履修モデル」で、必修科目を中心に時間割の骨格を作る。
- ステップ2:次に「カリキュラムツリー」を見て、自分の興味がある専門分野の科目を、基礎から順に組み込む。
- ステップ3:空いたコマに、一般教養など、卒業要件を満たすための科目を配置する。
- ステップ4:最後に、全体の単位数が「CAP上限マイナス4~8単位」の範囲に収まっているかを確認する。
この4ステップを踏むことで、誰でも論理的で、後悔のない履修計画を立てることができます。
まとめ
今回は、大学生活の羅針盤となる「履修モデル」と「カリキュラムツリー」について解説しました。
- 履修計画に迷ったら、まず「履修モデル」と「カリキュラムツリー」を見よう。
- 「履修モデル」は、卒業までの王道ルートを示す時間割のモデルケース。
- 「カリキュラムツリー」は、科目同士の繋がりを示す学問の進化図。
- これらは大学によって見た目や呼び方が違うので、まずは自分の大学のものを探そう。
- 2つの地図を組み合わせることで、戦略的な履修計画が立てられる。
これで、『大学生活の歩き方【基礎編】3部作』は完結です。
「単位」「CAP制度」「履修計画」という、大学生活の最も重要な基礎知識は全てマスターしました。この3部作で得た知識があれば、もう迷うことはありません。
最高のスタートを切ったあなたが次に知るべきは、「最高のレポートの書き方」や「PC活用術」といった、より実践的なスキルです。今後の記事も、ぜひ楽しみにしていてください。
コメント