年末調整と確定申告は、どちらも1年間の所得税を精算する手続きですが、担当者と処理できる範囲が違います。会社員でも、医療費控除、ふるさと納税、住宅ローン控除の初年度、副業などがあれば、年末調整を受けた後に確定申告が必要または有利になることがあります。自分の手続きを、最短で判断できるように整理します。
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先に結論:会社で終わるか、自分で申告するか
| あなたの状況 | 基本の手続き | 確認すること |
|---|---|---|
| 給与は1か所、会社へ必要書類をすべて提出 | 年末調整で完了することが多い | 源泉徴収票と控除反映を確認 |
| 医療費控除・寄附金控除・雑損控除を受けたい | 年末調整後に確定申告 | 年末調整済み給与も申告書へ入力 |
| 住宅ローン控除の初年度 | 確定申告 | 2年目以後は一定の場合に年末調整 |
| 副業所得がある、給与が2か所以上 | 条件により確定申告 | 20万円判定と住民税申告を確認 |
| 年の途中で退職し、年末まで再就職していない | 還付申告を検討 | 年末調整を受けていない源泉徴収票を確認 |
| 年末調整へ控除書類を出し忘れた | 会社の再調整または確定申告 | 勤務先の締切と源泉徴収票を確認 |
情報確認日:2026年8月9日
制度の基本比較は国税庁タックスアンサー(主に令和7年4月1日現在法令等)と令和7年分年末調整資料で確認しています。控除額、所得要件、申告期間、提出書類は対象年分の最新案内を確認してください。
この記事の目次
年末調整と確定申告の違い
| 比較項目 | 年末調整 | 確定申告 |
|---|---|---|
| 手続きする人 | 勤務先が給与所得者について行う | 本人が税務署へ申告する |
| 目的 | 毎月の給与から源泉徴収した税額と、給与を基に計算した年税額との差を精算 | 1年間の所得・控除・税額をまとめて申告し、納付または還付を確定 |
| 主な時期 | 一般にその年最後の給与支給時期 | 原則として翌年の確定申告期間。還付申告は翌年1月1日から5年間 |
| 扱う所得 | 原則として勤務先が把握する給与 | 給与、副業、事業、不動産など申告対象となる所得全体 |
| 提出先 | 勤務先 | 所轄税務署。e-Tax、郵送、窓口 |
| 代表的な対象 | 扶養、配偶者、保険料、住宅ローン控除2年目以後など | 医療費、寄附、雑損、住宅ローン控除初年度、副業など |
大切なのは、年末調整と確定申告が二者択一ではないことです。年末調整を受けた会社員が、そこで扱えない所得や控除を追加するために確定申告することもあります。確定申告では、勤務先が発行した源泉徴収票の内容を含めて1年分を再計算します。
年末調整でできること
国税庁によると、年末調整は、給与から源泉徴収した所得税・復興特別所得税の合計額と、その人が1年間に納めるべき税額との差額を精算する手続きです。源泉徴収が多ければ還付され、少なければ追加で徴収されます。
年末調整で反映できる主な控除
- 基礎控除
- 配偶者控除・配偶者特別控除
- 扶養控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除
- 社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除
- 生命保険料控除、地震保険料控除
- 所得金額調整控除
- 住宅借入金等特別控除(給与所得者の2年目以後で、必要書類を提出した場合)
控除を受けるには、扶養控除等申告書、基礎控除申告書、配偶者控除等申告書、保険料控除申告書、控除証明書など、該当する書類を勤務先へ提出します。会社があなたの医療費や寄附、副業収入を自動で把握してくれるわけではありません。
年末調整の対象にならない主な人
- その年の給与総額が2,000万円を超える人
- 扶養控除等(異動)申告書を年末調整を行う日までに提出していない人
- 年の途中で退職し、国税庁が示す中途年末調整の対象ケースに該当しない人
- 災害減免法により給与に対する源泉徴収の徴収猶予や還付を受けた人
転職した人は、前職へ扶養控除等申告書を提出していた場合、前職の給与を含めて転職先で年末調整できることがあります。そのためには前職の源泉徴収票が必要です。確認できなければ、転職先は前職分を含む年末調整を行えません。
年末調整ではできず、確定申告する主なケース
医療費控除・セルフメディケーション税制
医療費控除は年末調整では受けられません。対象になる医療費を集計し、医療費控除の明細書などを使って確定申告します。通常の医療費控除とセルフメディケーション税制は選択適用です。
対象費用、保険金で補てんされた金額、家族分を合算できる条件は、医療費控除の対象と申告方法で確認できます。
寄附金控除・ふるさと納税
寄附金控除は年末調整の対象ではありません。ふるさと納税は、一定の条件でワンストップ特例を利用すれば確定申告を省略できます。ただし、医療費控除や副業など別の理由で確定申告をすると、ワンストップ特例の申請は無効になり、確定申告ですべてのふるさと納税を申告する必要があります。
寄附先数や申告理由による違いは、ふるさと納税で確定申告が必要になる条件で整理しています。
住宅ローン控除の初年度
住宅ローン控除は、控除を受ける最初の年分に確定申告が必要です。給与所得者は、初年度に確定申告して適用を受けた後、2年目以後は税務署からの控除証明書兼申告書と金融機関の年末残高等証明書を勤務先へ提出することで、年末調整を利用できる場合があります。1年目の必要書類と申告手順と、2年目の年末調整・書類が届かない場合を続けて確認できます。
雑損控除、特定支出控除など
災害・盗難などによる雑損控除や、給与所得者の特定支出控除も、原則として確定申告で手続きします。個別の適用要件と必要書類があるため、該当する場合は国税庁の対象年分の案内を確認してください。
副業や複数給与がある会社員
1か所から給与を受け、その給与が年末調整されている会社員でも、給与・退職所得以外の所得合計が20万円を超える場合は、原則として確定申告が必要です。20万円は副業の売上ではなく、対象となる所得の合計で判定します。
給与が2か所以上ある場合は、年末調整されなかった給与収入と給与・退職所得以外の所得を用いる別の判定があります。副業所得が20万円以下でも、医療費控除などのため確定申告するなら、その副業所得も申告へ含めます。また、所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告は別途必要になるのが原則です。
売上と所得の違い、必要経費、住民税は、会社員の副業と確定申告の20万円ルールで具体例を確認してください。
年末調整で控除を出し忘れたとき
まず勤務先へ、年末調整の再計算が可能か確認します。年末調整後に扶養親族等の状況が変わった場合などは、源泉徴収票を作成するまでに申し出れば再計算できるケースがあります。
会社の締切に間に合わない、再計算を受けられない場合でも、対象となる控除を確定申告で追加できることがあります。源泉徴収票、控除証明書、本人確認に必要なものを準備し、国税庁の確定申告書等作成コーナーで入力します。
「年末調整を受けたから確定申告できない」ことはありません。
年末調整済みの源泉徴収票を基に、漏れた控除や別の所得を加えて1年分を再計算します。
中途退職・転職したとき
- 年内に転職:前職の源泉徴収票を転職先へ提出し、前職分を含めて年末調整できるか確認します。
- 退職後、年末まで再就職しない:通常は年末調整の対象外です。源泉徴収税額が納め過ぎなら、確定申告で還付を受けられる可能性があります。
- 退職後に別の所得がある:給与以外の所得と合わせ、確定申告の必要性を判定します。
還付申告は、確定申告義務がない人なら対象年の翌年1月1日から5年間提出できます。ただし、期限内申告が適用要件になっている制度もあるため、「還付だからいつでも同じ」と考えず、該当制度の期限を確認してください。
確定申告までの手順
- 勤務先から源泉徴収票を受け取る
- 副業など申告する所得を集計する
- 医療費、寄附、住宅ローンなどの資料を準備する
- 国税庁「確定申告書等作成コーナー」で源泉徴収票と追加項目を入力する
- 住民税に関する事項も確認する
- e-Tax、郵送または税務署窓口で提出し、納付・還付を確認する
よくある質問
年末調整と確定申告を両方すると二重申告になりますか?
なりません。年末調整済みの源泉徴収票を確定申告へ入力し、追加の所得や控除を含めて最終税額を計算します。
生命保険料控除は確定申告でもできますか?
年末調整で提出し忘れた場合などは、確定申告で適用できることがあります。控除証明書を準備し、ほかの申告項目と合わせて入力します。
確定申告すれば必ず還付されますか?
必ずではありません。追加する控除が源泉徴収税額を減らす場合は還付の可能性がありますが、副業所得などを追加すれば納付になることもあります。
会社員は源泉徴収票だけで申告できますか?
申告内容によります。医療費控除なら明細、寄附金控除なら受領証等、住宅ローン控除初年度なら契約・登記・残高などに関する書類が必要です。
公式情報
- 国税庁 No.2662 年末調整のしかた
- 国税庁 No.2665 年末調整の対象となる人
- 国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人
- 国税庁 No.2030 還付申告
- 国税庁 No.1211-1 住宅借入金等特別控除
- 国税庁 令和7年分 年末調整のしかた
本記事は一般的な制度案内です。所得区分、控除要件、必要書類、申告義務は個別状況や対象年分で変わります。最終判断は国税庁の最新案内、所轄税務署または税理士へ確認してください。
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