
NISAで商品を売却すると、売却した商品の購入時の金額(簿価)に相当する非課税保有限度額を、翌年以降に再利用できます。ただし、売却した年の年間投資枠が戻るわけではなく、復活分が翌年の年間投資枠へ上乗せされるわけでもありません。
先に結論
①復活するのは売却代金ではなく簿価、②使えるのは翌年以降、③再利用するときも年間120万円・240万円の上限内です。2026年に100万円で買った商品を全部売却した場合、値上がり・値下がりにかかわらず、100万円分の総枠を2027年以降に再利用できます。
情報確認日:2026年9月13日
金融庁・国税庁の現行案内を確認しています。本記事は2024年からのNISAの一般的な制度説明です。売却時期や商品を推奨するものではありません。投資には元本割れのおそれがあり、個別の取引判断は資金の目的やリスクを踏まえて行ってください。
NISAの「復活する枠」と「復活しない枠」
| 枠 | 売却後の扱い | 注意点 |
|---|---|---|
| 非課税保有限度額(総枠) | 売却商品の簿価分を翌年以降に再利用できる | 合計1,800万円。成長投資枠は内数1,200万円 |
| その年の年間投資枠 | 売却しても戻らない | つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円 |
| 翌年の年間投資枠 | 通常どおり利用できる | 復活した総枠が年間上限へ加算されるわけではない |
混同しやすいのは、1,800万円の非課税保有限度額と、毎年の年間投資枠が別の上限である点です。売却で空きが戻るのは総枠側です。年間投資枠は年ごとに管理されるため、同じ年に売却しても、その売却分を追加の買付枠として使うことはできません。
2つの年間投資枠の対象商品や上限を整理したい場合は、つみたて投資枠と成長投資枠の違いを先に確認してください。
復活額は売却価格ではなく簿価で決まる
非課税保有限度額は、現在の評価額ではなく、商品を買ったときの金額である簿価残高で管理されます。値上がり後に売却しても復活額は増えず、値下がり後に売却しても復活額が売却代金まで減るわけではありません。
| 購入時の金額 | 全部売却したときの金額 | 翌年以降に再利用できる総枠 |
|---|---|---|
| 100万円 | 140万円 | 100万円分 |
| 100万円 | 100万円 | 100万円分 |
| 100万円 | 70万円 | 100万円分 |
一部だけ売却した場合は、売却した部分に対応する簿価分が対象です。実際の簿価や残りの利用可能額は、利用中の金融機関のNISA画面・取引報告書で確認してください。
売却した年には枠を再利用できない
2026年中に売却した商品の簿価分を再利用できるのは、2027年以降です。売却直後に総枠の空きとして使えるわけではありません。
- 年間投資枠をすでに使い切った:同じ年に売却しても追加買付はできない
- 年間投資枠が残っている:残っている年間枠と、その時点で残る総枠の範囲なら買付できる
- 翌年になった:売却で復活した総枠を使えるが、翌年の年間120万円・240万円の上限は超えられない
例:成長投資枠を年間240万円まで使った後、同じ年に簿価100万円の商品を売却しても、その年に成長投資枠を100万円追加できるわけではありません。翌年以降、総枠側の100万円分は再利用できますが、各年の成長投資枠は240万円までです。
金融機関を変更した後はどこで再利用する?
金融機関を変更すると、変更前に買った商品は元の金融機関に残ります。その商品を売却して総枠が復活した場合、再利用できるのは、変更後にNISA口座を利用している金融機関です。元の金融機関で再び買い付けるための枠ではありません。
変更時期・必要書類・変更前の商品管理については、NISAの金融機関を変更する方法で整理しています。
2023年までの旧NISAを売却した場合
2023年までの一般NISA・つみたてNISAの商品は、2024年からのNISAとは外枠で管理されています。旧NISAの商品を売却しても、2024年からのNISAの非課税保有限度額は復活しません。
旧NISAの商品は非課税期間や移管条件も異なります。「売れば現行NISAの枠が増える」と考えず、購入年・非課税期間・現在の口座区分を確認してください。
値下がりした商品を売却するときの税務上の注意
NISA口座で生じた売却損失は、税務上なかったものとみなされます。そのため、特定口座・一般口座の譲渡益や配当等との損益通算、損失の繰越控除はできません。確定申告と配当受取方式まで含む違いは、NISAで確定申告が必要になるかで確認できます。
「総枠が戻るから」という理由だけで売却を決めず、資金を使う時期、保有目的、値動きへの許容度、売却後の運用方針を分けて検討してください。
売却前に確認するチェックリスト
- 売却する目的と必要な金額を決めた
- 購入時の金額と現在の評価額を分けて確認した
- 復活するのは簿価分で、利用は翌年以降と理解した
- 今年の年間投資枠が売却で戻らないことを確認した
- 翌年の買付予定が年間投資枠を超えていないか確認した
- 金融機関変更後なら、再利用先の金融機関を確認した
- 旧NISAと2024年からのNISAを混同していない
- 値下がり時はNISAの損失を損益通算できない点を確認した
今後の積立額も確認する
新NISAつみたてシミュレーターでは、現在の買付元本・評価額を含めて、積立額を変えた場合の概算を確認できます。売却による枠の復活は計算に含まれないため、本記事で確認した再利用額とは分けて使ってください。
よくある質問
売却したらすぐ同じ商品をNISAで買い直せますか?
売却でその年の年間投資枠は戻りません。その年の年間投資枠と総枠が別に残っていれば買付できる場合がありますが、売却した分を同じ年にそのまま再利用することはできません。
100万円で買い、150万円で売ったら150万円分復活しますか?
いいえ。全部売却した場合に復活する総枠は、購入時の金額である100万円分です。売却益50万円分まで枠が増えるわけではありません。
売却した100万円分は翌年の360万円に加算されますか?
加算されません。復活するのは1,800万円の総枠側です。翌年も、つみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円の年間上限内で買い付けます。
次に確認するページ
- 新NISAの始め方|制度と口座開設の手順
- NISAと確定申告・損益通算・配当の受取方法
- つみたて投資枠と成長投資枠の違い
- NISAの金融機関を変更する方法
- DMM 株・松井証券のNISA口座比較
- 新NISAつみたてシミュレーター
公式情報
制度や金融機関の画面表示は変更される場合があります。売却・再投資の前に、金融庁の最新案内と利用中の金融機関で、簿価・年間投資枠・非課税保有限度額の残りを確認してください。